働くことを考える

企画している催し物や生業のほうに就職活動中の学生さんが来られるようになり、自分自身が就職活動中だった頃、働くことを考えすぎて宗教を始めそうになったことを思い出している。


世界が平和になるためにはどうすればいいのだろうということを子どもの頃から考えていた。親の影響か何かで何故か戦争を身近に感じていた節があり、人が人を殺さないで済む方法について考えていた。私がちゃんと話せば悪い人はみんないい人になるなど思っていた。

一方で、人を憎んだり気持ち悪がったり集団に適合しようとしなかったり人を見下す性質のある自分に辟易もしていた。おまけに音痴だし無知。寒いと口びるが紫になるのもイヤ。


家族のことすら大切にできない自分に何ができるのかと真剣に考えたのが就職活動の時期だった。

国際的な支援に熱心だと信じていたわたしのいる国の政府や企業の送るお金の先でシンプルでない事態が起こっていることを知ったのも、私の買うもの、売るものの先でめちゃくちゃなことが起こっていることもこのときに知った。日本の中にスラム街があることもぜんぶ大学に入ってから知った。


また、それらに関わる人の中に根っからの悪人がいるわけでもなさそうなことも何となく知った。

どうすればいいかだけは知ってるつもりだったのが、誰も何も知らないことを知った。

そんなことがあたまの片隅にありながらの就職活動は方々で嘘ばかり言っていたのでつらかった。


働くということは人に影響を与えるということで、わたしはなるべく人に影響を与えたくないと思った。それも、いいことをしてるつもりで地球のどこかで誰かを殺してたらイチバンいやだと思った。

人を傷つけない無駄なことをして、世の中になるべく影響を与えず、憎まれず生きたいと思った。とりあえず大阪とか行ってみたりした。

でも今はそれは無理だなーと思っている。何も生み出さないことは不可能。誰かの食い扶持になりながら誰かを苦しめないと、生きていけない。生きるのは大変つらい。


生きるのはつらいといえば、ウン、生きるのはつらいけど、例え可哀想だからといって人に殺されていい人がいるとは思わない。存在価値のない人はいないというのが結論になっている。

叱られるべき人は沢山いるし私もそのひとりだけど、沢山の人が言ってきたように、生き物は生きてるだけですごいし色々と何かを生むから、死ぬと何も生まない。


つまり、驚くべきことに人生に目的はないらしい。ご飯は美味しいし人に抱きしめられたら嬉しいしあったかい布団で寝ると気持ちがいい。その逆はつらい。その繰り返しをやっている。これは生きるということのはなしダ。


話を働くことに戻せば、先日、ロマは労働歌を持たないと聞いた。労働という概念がないらしい。労働を労働と思わなくても生きていけたということだ。

昔はなかった概念として、日本にも、結婚や家族、個人のない頃があったと聞く。

その時代の仕組みより良くなろうとしてきた積み重ねての今なのだからそこに戻るのはナンセンスだと思うけれど、ワタシそもそも人間なんだよね、という感覚は、よくわからなくなったときにワタシを救ってくれるもののようだ。


働くということを考えると、どうしても、どう生きるかを考えてしまう。

好きなことを突き詰めようか、1人を愛そうか、自由を愛そうか、旅をしようか、親は悲しませたくないなとか。


何を信じて生きるかを決めようと思うと、そこにはすでにその人の宗教がある。


それだけ、答えがなくて曖昧な正解しかでない作業に立たされるのが、生業を決めるということだと思う。


どうなんだろう、同じ種類のモンモンに悩まされてる人が今いるだろうか。わからないけど、正解のない結論は優秀な政治家や経営者だって簡単にできないエライことだから、悩んで当然なんだ。


将来のこと考えても明日しんじゃうかもしれないから、考えることがイロイロ多くても会いたい人には会って、たまには遊びましょうね、と何もない空間にコトバをぽつねん残して、結びとします。

井の頭公園のお稲荷さんの会

 

9月の終わり、井の頭公園のお稲荷さんの会という集いにお邪魔しました。

吉祥寺にある喫茶店でお会いした妖怪の加藤さんに怪談探書宴へ出店していただいたお礼をする目的もあり、ふらりと雨のふる井の頭公園へ訪れその会に合流させていただきました。

公園近くのカフェから出てきた皆さん、何やら興奮気味で、非常に濃い内容のお話し合いをされていたようです。二軒目のカフェで皆さんから井の頭公園のお稲荷さんにまつわるお話を聞きました。

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わたしの場合、井の頭公園は、中学生の頃から自転車やバスで何度も通い、苦い思い出も温かい記憶もたくさんある場所。すこし身体が無理を続けたときは、昼頃からここに繰り出してぷらぷら大道芸を見たりおしるこを食べたり、帰りに駅前で本や着物を買ったりなどすれば贅沢な気持ちです。
ところが、はてな、このお稲荷さんのことは火事に遭う前の記憶があまりありません。むしろ、その後喫茶店で加藤さんのお友達が描かれたお稲荷さんと狐さんの絵を見て「ああ、そういえば...そんな火事があったかな...」と思い出したくらいでした。


この会に来られていたタケイチさんという女性が非常に丁寧に井の頭の郷土資料を調べて資料を用意されており、その資料をいただきました。

そのむかし、この一帯は、牟礼村と呼ばれた地域の一部でありました。
徳川家康がこの地の湧き水を茶の湯に使ったことで、ここから神田上水が敷かれたという、幕府にとって大切な池。江戸城に引く水が枯れないようにと水加持が行われ、社も建立されました。
 
1655年〜1658年のものと思われる「牟礼村古地図」にはすでに「いなり」が描かれています。

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▲タケイチさんの持ってこられた資料の一部。出典『写真集みたかの昔』三鷹市教委

江戸城に水を送る大切な場所としてお稲荷さんに守られてきた立派な湧き水。人に大切にされている自然はこの世に大なり小なり幾つもありますが、井の頭の自然は特に、由緒正しい歴史の上にあるのだと襟を正された気持ちになりました。
 
それだけ長い信仰のあった井の頭のお稲荷さん。きになるのは、果たして、なぜ火事に遭ってしまわれたのかその理由...。もし誰かがわざと...などと、二軒目のカフェでみんな少し暗い気持ちになりかけましたが、そこは妖怪の加藤さんの音頭で、ぜったいに誰かを責めるのはよそう、ということで一致しました。
 
実際に、タケイチさんの用意された資料は非常に興味深くわくわくするもので、この世にごまんと存在するお稲荷さんの中でも、形として残っていないにも関わらず、言葉や記憶、写真の中で少なくともこの人たちに愛されている「親の井稲荷」さんはなんとも不思議で、少なくとも私にとって随分と気になる存在になりました。
 
そして当然、普段過ごす街のお稲荷さんも今まで以上に存在感を増し、私の足を止めるようになられました。

地球ができてから突然に緑や人が湧いてきた場所なんてないのだから、どんな土地にも歴史はあって物語があるのですが、それを読み解くためにふと足を止めることのできる機会ってなかなかないものであって。たまたま井の頭で立ち止まれたことは、袖触れ合うも何かの縁。関われるところで、よろこんで関わってみたいと思います。

www.instagram.com


井の頭公園のお稲荷さんの会ブログ

http://inokasira-oinarisan.seesaa.net/archives/20170403-1.html



 

【怪談探書宴9月16日(土)旧田中家住宅】

先日の9月2日(土)に旧田中家住宅で開催させていただきました「怪談夜宴ー百鬼ノ夜ー」は、無事に怪しく美しい夜を皆さまと楽しむことができました。

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氷柱のしたたる音が響く会場の茶の間、庭の風がだんだんと寒く感じられた朗読者の怪談公演。
まだ蒸し暑い時期の会場が、みるみると涼しくなっていったあの様子を会場に居た方と共有できたことは嬉しい思いです。

 

第一部 朗読者公演作品は以下。

鏑木清方 「幽霊の写生」 
小泉八雲 「むじな」「葬られた秘密」
泉鏡花 「夜釣」

演出 北川原梓 出演 奈佐健臣、河崎純(コントラバス


「夜釣」には私もたまげましたが、泉鏡花ファンの方々が「泉鏡花は音で聴くと最高・・」と感想を言われていたのが印象的。

文化トークの時間には妖怪研究家の湯本豪一氏をお招きして妖怪と怪談をテーマにお話させていただきました。”不思議な話”のひとつである妖怪というジャンルが持つ噂のエリートとしての面白さがわかる資料をたくさん見せていただきました。目に見えないものを信じたい気持ちやそれに惹かれる気持ちを、小説家も、絵描きも、彼らがまた興味の対象としていた昔の人たちも、それぞれ持っていたことをお話聞けておもしろかったです。

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つづく「怪談夜宴ー幻想ノ夜ー」の打ち合わせも終了し、チケットも有難いことに売り切れ、心地よい緊張感がつづいています。
会場の旧田中家住宅は埼玉県屈指の重要文化財。今回、非常に自由な使い方をさせていただいていることを大変うれしく思います。

泉鏡花小泉八雲鏑木清方といった怪談文学やその背景をさらに堪能する文化トークを楽しむ「怪談夜宴」のチケットは完売となりましたが、
同時開催の「怪談探書宴」はその前の13時〜16時の間だけ開催される書店の宴・・・!

参加書店はどちらも大変個性的な選書をされて参加されています。二度と隣同士に並ぶことはない書店同士の生み出す空間が書店好き、本好き、建物好きにはたまらないことこの上ありません。もちろん、怖いもの好きさんにも見て欲しい。

参加書店:しばしば舎(蕨駅から徒歩圏内、斜めでするどい視点)、カストリ書房(吉原の入り口にて赤線・遊郭とその周辺カルチャーを発信する)、Pelekas Books&Gallery&Bar(誰もが来られるのに不思議な空間)よたか堂(自作の表紙が心にのこる)、忘日舎(世界と視点を広げてくれる空間)、古書ドリス(異界への誘惑、未知の世界に惹きつけられる)、トムズボックス(もう店舗はない、実際に手にとることができる貴重なチャンス)、朗読者(文学を体感する)

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「怪談探書宴」
9月16日(土)13時〜16時
会場:旧田中家住宅 (埼玉県川口市末広1−7−2)
料金:旧田中家住宅 入館料 200円
東京メトロ南北線直通 埼玉高速鉄道川口元郷駅」2番出口より徒歩8分

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「消化不良映画観賞女子会」

 
日時:7月1日(土)
13:30 浅草寺本殿付近の浅草公園台東区浅草2−3)
「鳩ぽっぽ碑」前に集合。主催者は浴衣着用で札を持っています。 
14:00 開始(18:30終了予定。希望者で夕飯へ)
場所:浅草某所某人の自宅にて開催。
価格:700円(ご飲食代として)
 
申し込み方法:
下記メール宛もしくは問い合わせフォームに
・当イベント参加の旨
・氏名
・ご連絡先
・あなたの消化不良映画(動画)の作品名
をお送りください。
naoraido@naorai.space
 
各自の持ち寄った映画情報を、予告編など見ながら共有。
中でも一番「供養」が必要そうな映画を観賞し、わいわい言いながらパンやらお菓子やら宇宙食を食べましょう。お酒や紅茶、コーヒーもあります。
東京の隅、他人の家で初めて会う人たちと珍妙なものを鑑賞することで味わえる何かを感じてください。
 
・住居持ち主が女性のため、女性限定
・映像再生機のスペックは「低」・・・。
あなたの、消化不良映画情報を持って来てください。一つでも複数でも可。動画も可。
・このイベントは録音し、主催者が夜な夜な文字起こしを行い、読み物にしようと企んでいます。そんな取り組みを面白がってくださる方、大歓迎です。

「空想都市『中村市』に珍スポットをつくろう!」の感想をいただきました

5月21日(日)神保町にて、観光会社「別視点」さんと共催させていただいた「空想都市『中村市』に珍スポットをつくろう!」の感想をいただきました。

書いてくださったのは慶應義塾大学大学院でシステムデザインの研究をされている学生のサカタさん。

ありがとうございます!
以下、写真や補足を加えながら引用させていただきます。


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今日は、とても濃くてとても長くて、たぶん完読する人の少ない…逆にいうと、完読してくれた方々とはめっちゃ仲良くなれそうな、そんなお話を。

5/21(土)、EDITORY神保町にて開催された「空想都市『中村市』に珍スポットをつくろう!」というワークショップ(WS)に参加して参りました。

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このWSは、東京を始めさまざまな地域の珍スポットを見つけ出し、それらを巡るツアーを行なっている観光会社「別視点」の松澤茂信さんと、7歳の頃から架空の都市「中村(なごむる)市」の地図をつくっている「地理人」の今和泉隆行さん、そして神保町でフリーペーパーを展開している「じじ神保町」のコラボレーション企画。12歳の頃から空想地図を(実は)つくっていたサカタ(筆者)は、大学時代のサークル仲間のまきちゃんの紹介で知り合った、「じじ神保町」のふゆちゃんこと茶谷ムジ女史からこの企画を聞いて、居ても立ってもいられず参加に至ったわけでございます。

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WSはふゆちゃんの「じじ神保町」の紹介からスタート。「じじ神保町」は、古本やカレーだけではない、新たな神保町のイメージを模索しており、最新号ではなんと新潟県三条市にまで取材に行ったのだとか。フリーペーパーの枠を越えた活動にビックリです。

続いては「地理人」の今和泉さんと「別視点」の松澤さんのトークセッション。

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架空都市の地図でタモリ倶楽部にも出演したことのある今和泉さんの「地図はまちの目次のようなもの」という言葉は、なかなかに言い得て妙だな〜と思いました。(サカタを含め)地図マニアにとって、地図はその土地の気候・風土・経済・産業・歴史・文化の表象であって、地図が土地の物語を語りかけてくれると言っても過言ではないのです。

また、珍スポットを何千箇所も巡っている松澤さんによる、珍スポットの4類型も非常に興味深かったですね。
松澤さんによると、珍スポットは

・マニアタイプ
・異業種組み合わせタイプ
・思想だだもれタイプ
・時の流れに仁王立ちタイプ
・いびつなおじさんタイプ

の4類型に分類されるのだとか。

例えば、人面石ばかりを集めた珍石館など、興味のギャップの感じられるスポットは「マニアタイプ」に、お坊さんがいる「坊主バー」などの、組み合わせのギャップのあるスポットは「異業種組み合わせタイプ」に分類されるそうで、その他にも創業者の意思のつまった犬山市の「お菓子の城」などは思想のギャップが見られる「思想だだもれタイプ」に、昭和のレジャーブームを色濃く残す「養老ランド」は時代とのギャップを感じられる「時の流れに仁王立ちタイプ」に、不思議なこだわりを持ったおじさんが経営している新橋の「かがや」(ここは説明しにくいけどとても行ってみたい)などは人間性とのギャップを感じられる「いびつなおじさんタイプ」に分類されるのだそうです。

今和泉さん・松澤さんのディープさ溢れるトークで虚構と現実の境目が曖昧になってきたところで、WSは「空想地図を、珍スポット目線で読み解いてみよう!」のコーナーへ。
5名グループに配られた空想地図の一部とお題を元に、どんな珍スポットがあるかを考えるという試みに挑むことになりました。

サカタのいたグループに配られた地図は、中村市の北部、大都市西京市と大楽川を隔てて接する中洲の街、北区の堀水野(ほりみの)のもの。

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そしてお題は
「北区を流れる大楽川沿いは、広い河川敷があり、人の背丈を超えるボーボーの地帯が数多くあります。人から見えないのをいいことに、草むらの中には謎のスポットが誕生しています。さて、誰がどんなことをしているでしょう。」
という、なかなか考え甲斐のあるお題でした。
グループで話しながら、始めに出てきたのは野◯◯スポットと××本の自動販売機群(どっちも下ネタw)。でも、そこから「匿名性の高い場所だよね」という発想が出てきて、「捨てられたペットの生態系が育まれているんじゃないか?」とか、「ペットの世話をしようとする怪しいオジサンがいるんじゃないか?」といった方向に話が発展(あ、ハッテンといえばそもそも例示がアレな感じだった)して、最終的には人間と動物の新文明が生まれつつある珍スポットがあるんだ、という結論に至りました。

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(ここまで読んでくれた皆さん、ついて来れているでしょうか…笑)


WSのシメは、「空想都市に珍スポットをつくってみよう!」。松澤さん・今和泉さん曰く「フリースタイル」の部門ということで、一つ前と同じ地区で珍スポットを考えてみようというコーナーでした。


サカタのグループでも個人ごとに色んな珍スポットが生まれましたが、最終的に発表した珍スポットは


「隣町のご当地ゆるキャラのシールが貼っては剥がされるシール工場跡地のトタンの壁」

地図を読み解いた結果、堀水野地区は中村市に所属しているものの、南北を流れる大楽川によって中心部との繋がりが分断されており、さらに隣の西京市のほうがアクセスしやすいというジレンマを抱えた地域だということに気づき、そこから話が広がっていきました。そして生まれたストーリーがこちら。

「堀水野には、西京市民になりたいけどなり切れない人や中村市民として疎外感を感じている人たちが住んでいる一方で、小学生からシールおじさんと呼ばれている怪しいおじさんなど、堀水野そのものに強いアイデンティティを持っている人もいます。堀水野のシール工場の跡地には、西京市派が貼ったと見られる西京市のご当地キャラクターのシールが怪しい笑顔を浮かべているものの、時々堀水野のご当地キャラクター『ほりみん』のシールに貼り替えられることがあります。おそらく(というかほぼ間違いなく)、シールおじさんの仕業なのではないか…という噂が、まことにしやかに伝えられているのです…」

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他のチームからも、栄森地区「美大生のいたずらが生み出した心霊スポット」

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美大生のいたずらが生み出した心霊スポット。牛山団地の屋上に少女が立っているという噂話があるが、実はもともと西京美術大学の演劇部や大道芸サークルの練習をしていたのが発端。徐々に話がエスカレートして生まれた珍スポット。・・・聞いていた地理人さん「じつは・・、私もその話聞いたことあります。ビックリした。。」というコメントに会場が湧きました。


平川地区「風俗街化をきらう住民が作った電波物件」、「地域の偉人『沢治二郎(さわおさむじろう)』の11mの鉄像」

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沢治二郎(〜1902)歌人。当時にしては珍しい180cmの長身で、震災復興の為に建てられた沢治二郎の鉄像が11mと巨大なのはそのことに由来している。普段は沢の自宅跡にある科学館に保管されているが、5月21日は墓があり、沢の愛人の住まいであった往心寺に運ばれ、これが沢鉄祭りの由縁である。


「信号機をみるためだけの喫茶店『シグナル』」「文学青年になりたかった店主がつくりあげた中華料理屋『大楽書房』」など、一言ではとても説明できない、愉快で怪しくて少し切ない珍スポットが生まれ、WSは盛会のうちに幕を閉じました。

 

さて、ここからが大事なところです。笑

ここ最近のサカタは、地域の人たちが、自分たち同士で地域を遊ぶための、地域の遊び方を生み出すWSを設計したいと考え、日々研究を重ねています。
今回のWSに参加したのも、こうした研究に生かせるヒントがあるかも知れないと思ったから。そしてその予感は、見事に的中しました。

まず思ったのは、このWSにはまちづくりWSのコペルニクス的転回的な側面があるぞということ。
最近、日本各地で行われているまちづくりのWSは、当然ながら実際に存在する「まち」の、実際に存在する地域資源をベースにして、それらをどう生かすかという方向に設計されることが多いように思います。
しかし、このWSでは、実際には存在しない「中村市」の、実際には存在しない地域資源をベースに妄想を膨らませるという真逆のアプローチを取っているのです。これはまさに、天動説と地動説になぞらえるべき、まちづくりWSのコペルニクス的転回といっていいのではないかと思うのです。

そして、このような真逆のアプローチだからこそ感じたのが、このWSは良い意味で、既存のまちづくりWSに対する痛烈で痛快なアンチテーゼを示してくれているのではないかということ。
特にそのことを感じたのは、WSの途中に今和泉さんが「このまちの人はみんなポジティブなんですね」とポロっと話した瞬間。「言われてみれば、今までのまちづくりWSでは不自然にやたらポジティブな住民が想定されることが多かったかも知れない…」「もしかしたら、『まちづくりバイアス』と言えるような思想の偏りがあるのかも知れない…」と、ギクッとしました。

一方で、このWSの凄まじい強みだと思ったのは、風俗街の話や××本の自販機の話といったまちと性の関わりや、地域住民の微妙な対立・アイデンティティのジレンマといった、既存のまちづくりWSでは極めて扱いづらいテーマにも軽々と踏み込めるということ。なにせ誰も住民ではないし、誰もしがらみがないし、誰も行ったこともないし、そもそも存在しないまちなのだから。(笑) 
さらに、存在しないまちを妄想しながら話すことで、WSの参加者の潜在意識にある「まち」の思い出や理想がどんどん言葉になっているように感じて、これは実際のまちづくりWSでも使えるかも知れないと思いました。

そして何より痛感したのは、「まち」はストーリーを共有しあうことで存在をし始めるということ。今回のWSは午後の3時間1回きりでしたが、3時間とことん中村市の珍スポットについて妄想したり話したりした結果、サカタを含め会場にいた全員の頭の中に、「中村市」が存在をし始めたように思います。
WSの終わりに今和泉さんが「中村市って、意外と捨てたもんじゃないんですね」と印象的な言葉を残していましたが、実際の「まち」に対するポジティブな意識も、ストーリーを共有し合うことで醸成されるのかも知れないと思いました。

また、珍スポット的な視点をもつことで、「まち」の見方は格段に増えるということも実感しました。珍スポットには珍スポットと言われるだけのストーリーや背景、土地や人との因果関係があることを知っていると、「まち」の風景の見え方は全く変わってきます。実際、帰りに歩く神保町の街並みは、行きとは全く違うもののように見えました。「もしかしたら、自分の身近な場所にも珍スポットと言える場所が、案外沢山あるかも知れない。」今は、そんな思いを強く抱いています。

何だか色んな思いがありすぎて、うまく纏めきれませんが…とにかく、このWSのおかげで、サカタは背中を押してもらったような気持ちになりました。

世の中には意識高い系から真面目系まで色んなまちづくりがあって、さらに色んなWSがあります。でも、サカタはサブカル的な「まち」の面白さ、楽しさを追求できるまちづくり、WSのあり方を探っていきたいと考えています。なぜなら、それが「まち」を愛したり、自分ごとのように捉えたりする上で、一番広い間口を示せると思うからです。

まだまだ出来ること、沢山ありそうだぞ。
本当に大きな刺激になった、すごいWSでした。

あ、忘れてはいけない。ふゆちゃんのファシリテーション能力も本当に凄かった。さすが様々なイベントを実現しているだけあって、タイムマネジメントも的を射たコメントも完璧だった。いつか自分も、そんなファシリテーターになりたいな。また頑張ろう。

しかし中村市、いつか行けたらいいのにな…。

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都市マネジメントの研究されている方からの真面目な感想嬉しい。サカタさん、ありがとうございます!

 


今まで普通だったものが視点の増えることによって普通でなくなる体験をみなさんと共有したいと思って企画した本イベント。参加者の方々の地図を読み解く力や視点を組み合わせる力がこちらの想像以上で、驚くとともに本当にたのしい3時間でした。一緒にイベントをつくってくださった参加者のみなさま、ありがとうございます!

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そして、共催してくださった観光会社「別視点」の松澤さん、WSの途中で空想のサウナスポットを発案してくださった同じく「別視点」観光カメラマンの齋藤さん、会場のEDITORY神保町さん、そしてそして空想地図「中村市」を7歳から描き続けてきてくださった地理人さん!ありがとうございました・・・!
 
もっと「まち」を、いろんな方向から見てみるゾ。

空想都市「中村市」に珍スポットをつくろう!

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中村市は「なごむるし」と読みます。


この都市を知ったのは「じじ神保町」というフリーマガジンの編集部員として活動をはじめたばかりの4年前。空想地図の創作活動をしていた地理人さんと、編集部のあった神保町のコワーキングスペースで出会いました。


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▲空想地図作家、地理人さんの作品


地理人さんは、失礼な言い方にはなりますが、異常と言っても過言ではないほどの観察者。

多くの人が情報として捉えないような事物が地理人さんの視点をもってると「ちょー面白いモノ◎」になってしまいます。私は只々、驚いておりました。


そんな地理人さんが6歳の頃から作り続けているものが、空想地図。まるで存在しているような、存在しない都市「中村市」の地図です。

どこかで見たような、でも見たことのないこの都市は、とても普通でありそうなそれでできており、でも確かに存在していません。

眺めていると、地図から読み取れることの多さに驚愕し、普段見逃している「変哲のないこと」の多さに気づきます。

見逃していたそれらは、視点を変えると知的好奇心を刺激する重要な事柄であったりすると教えてくれます。


少し話が変わって、私は珍スポットと呼ばれるような常識と反するがためにメジャーとなれなかったりならなかったり大受けしていたりする物々が好きなのですが、「中村市」に珍スポはあるのか、、?という疑問がふつふつと湧いてきました。


珍スポは、誰も予期せずそこに突然あるイメージです。「ありそうでない、普通の都市」に珍スポはあるのか、、?あるとしたらどんな珍スポなのか、、?珍スポだって、現実にたくさんあるのだから中村市にもあって当然、、?


かくかくしかじかで、都市への好奇心が沸き立ちましたので、5月21日(日)14時から、地理人さんとの出会いの場でもある神保町EDITORY にて「空想都市『中村市』に珍スポットをつくろう!」というトーク&ワークショップを開催という運びになりました。


私が編集部におりますフリーマガジン「じじ神保町」は、神保町の既存のイメージとは異なる視点やアプローチでこの街を発信していくことを大切にしていました。神保町のメディアなのに和歌山へ行ったり新潟へ行ったり大層自由にやってきましたが、今回はさらにさらに別視点。


別視点といえばこの度の企画にのっていただいたとても嬉しい共催の観光会社「別視点」さん。

こちらもまたまた大学生のときの出会いにはじまり、街への関心が加速する大きっかけとなりました。

空想地図と珍スポ。

よき意味で異常性のある視点を持つ二人がどんなトークをするのか、一緒に見届けましょう。


体験として二人の別視点を吸収できてしまうようなワークショップも準備していますので、好奇心たっぷりでお越しください。



「空想都市『中村市』に珍スポットをつくろう!」5月21日(日)14時から。チケットはこちら→

http://www.another-tokyo.com/archives/50551770.html


都会と繭

繭の中は居心地がいいです。ひとり、自分の感情を整理することができるし、他の情報は自分が望まない限りは入ってこない。繭の中はうるさくないし、自分のすきなものだけ飾ることができる。

都会は人が多いです。混んでいるときに歩くとぶつかるし、知らない人のほうが多いし、知らない人と話したり、ときには言い合いをすることもあります。都会で暮らすのは大変です。

 

都会には繭がたくさんできます。

 

おもしろいことがあって、繭の大きさはひとつではありません。何人かが入ることのできる繭もあります。似たような繭が集まったり、同じ繭の中で顔見知りになって過ごしていることがあります。

繭の中は狭いので、うまくいく者同士でないとつらいです。繭に穴を開けておく者もいます。

 

繭は繊細です。形を変え続けるし、すべてが正しく制度化された繭などありません。

 

小さい繭になったり、大きい繭になったり。
都会でひとり生きられない者や居場所のない者は、繭を持っています。

あるいは、繭に関心を持ちます。

 

繭を見つけたら、少し大事にしてあげたい。

避けるでもなく、無理やり入ったり騒いだり写真を撮ったりしないで、

そっと自分の繭から顔を出して、挨拶したいです。